汗をかく季節になると汗臭いと感じます。また、汗以外にも私たちには体の臭いに関して敏感になっています。
特に夏場になると、衣服も薄くなりますので、余計に体の臭いは気になります。
私たち日本人はとても清潔好きですから、本当に臭いに敏感です。
家族から、体から魚のにおいがするといわれて悩んでいる方もいらっしゃるようです。
魚の臭いの原因と対策をお話しします。
魚臭症とは?
体臭が魚臭いと感じたら、「魚臭症」の可能性が考えられます。魚臭症は、トリメチルアミン尿症とも呼ばれ、代謝異常の病気のひとつです。
トリメチルアミン尿症(トリメチルアミンにょうしょう、英語名:Trimethylaminuria)は、摂取した食物を体内で消化分解した際に発生したトリメチルアミンが分解されず、汗や尿、呼気の中に排出されてしまう疾患。トリメチルアミンは腐敗した魚の臭いがするため、魚臭症、魚臭症候群とも呼ばれる。
魚臭症の原因
私たちが食事でとった食べ物は、食道や胃を通り、小腸に達して腸内細菌によって分解されます。
すると、”トリメチルアミン”という魚のような臭いの悪臭物質が発生します。本来ならば、この”トリメチルアミン”という臭い物質は肝臓で分解されます。
しかし、”トリメチルアミン”を無臭化する分解酵素が作用せず、”トリメチルアミン”が体内に残ってしまうと、血液中に取り込まれて全身を巡り、汗から出る場合は体臭となり、呼吸から出る場合は口臭となり、魚臭い臭いがするようになります。
”トリメチルアミン”を無臭化する酵素が遺伝的に欠如している、先天性原因と、肝機能障害や肝機能の低下などにより、一時的に酵素の作用が退化している後天的原因があります。
魚臭症対策
魚臭症は非常に珍しい病気で、世界中の患者数は約700人と言われています。このように患者数が少ないこともあって、残念ながら現在のところ治療法が、まだ確立されていません。
食事療法
食事療法によって、臭いを軽減できることがわかっています。臭いの原因である”トリメチルアミン”の発生を防ぐのです。分かりやすく言うと、”トリメチルアミン”の元となる原因物質を食べないようにすることです。
どのようなものが”トリメチルアミン”のもととなるのかというと、
- コリン
- レシチン
- トリメチルアミンオキシド
コリン
卵、肉類(加工肉やレバー)、豆類(エンドウ豆、そら豆、ピーナッツ、大豆製品など)、アブラナ科の野菜(芽キャベツ、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど)、なたね製品などに多く含まれています。
レシチン
卵黄や大豆、ナッツ、ごま油、コーン油、小魚やウナギなどに多く含まれています。 またサプリメントとしても市販されています。
トリメチルアミンオキシド
海水魚、サメ、エイ、軟体動物(イカやタコ)、甲殻類(エビ、カニ)などに多く含まれています。淡水魚はトリメチルアミンオキシドの含有量が低いようです。
食事の中で量を控えるほうがいいもの
穀類麦芽・胚芽・オートブラン(ふすま)入り小麦粉
ケロッグシリアル: オールブラン、胚芽入シリアル全般
豆類:大豆、インゲン、エンドウ、そら豆
野菜:アブラナ科(芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー)→特にコリンの多いもの
果物およびジュース: 特になし
牛乳:特になし
卵:全卵、卵黄
肉類:内臓肉(レバー、腎臓、心臓)、ベーコン(調理後にコリン含量増)
魚類:タイ、タラなどの海の魚一般(上記食材以外)、イカ、タコ、エビ、カニ含む
豆類:ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなど)、菜種油、マヨネーズ
食事療法しかないのが大変ですが、確実に効果が出ているようです。
まとめ
魚臭症は、世界でも700人ほどの患者さんの数です。
まず、魚臭いと家族や知人から言われたら本当に自分が魚臭症かどうかを確認することが初めです。
その後家族と相談して食事療法になります。
昭和薬科大学の山崎浩史先生が魚臭症の研究をされています。 魚臭症かどうかを自宅で検査できる尿検査キットの申し込むことができます。こちらのサイトをご覧ください。